ガイド · はじめの一歩
大人のピアノ独学:
何から始めて、どう練習するか
遅すぎることはないし、大人だから不利ということもありません。大人は子どもとは違うやり方で上達します。それを知っているかどうかが、2か月目でやめてしまうか、一生弾き続けるかの分かれ道です。
もう遅い?(いいえ。その理由)
子どもには時間があり、照れがありません。でも大人には、もっといいものがあります。自分が何を練習しているのかを、理解できることです。和音がなぜそうできているのか、リズムのどこがおかしいのかを、大人は1分で理解できます。子どもなら何か月もくり返して体で覚えるところです。最初の1年は、大人のほうが子どもより速く進むことがよくあります。
年齢で速くならないのは、手です。指は、誰の指でも、くり返しによってほぼ同じペースで覚えます。大人がもどかしく感じるのは、耳が指より先を行っているから。どう聴こえるべきかははっきりわかるのに、まだそう聴こえない。そのギャップは当たり前のもので、必ず縮まります。それを知っておくだけで、半分は勝ったようなものです。
必要なもの
ピアノ、または鍵盤に重みのある電子ピアノ
アコースティックピアノがあれば最高です(調律をしておきましょう)。なければ、88鍵で鍵盤に重みのある電子ピアノがいちばんのスタートです。重みのある鍵盤が指の力を育て、ヘッドホンで夜でも練習でき、アプリやパソコンにもつなげます。小さくて軽い鍵盤のキーボードは、本気なら数か月で物足りなくなります。
ちょうどいい高さの椅子
前腕が鍵盤と水平になり、ひじが体の少し前に自然に下がる高さに座りましょう。大人の初心者の痛みやこわばりの多くは、座る位置が低すぎることから来ます。
聴いてくれる誰か、または何か
大人が伸び悩むいちばんの理由は、まちがいに気づかないまま練習してしまうことです。先生、聴いてくれるアプリ、あるいはスマホで録音して聴き返すだけでも。もうひとつの耳が必要です。
最初に覚えること
- 鍵盤の地図。すべてのド(2つ並んだ黒鍵のすぐ左)を見つけ、そこから白鍵の名前を言えるように。2日これをやるだけで、何か月も鍵盤を探し回らずにすみます。
- 5本の指の位置。親指をまん中のドに、1本の指に1つの鍵盤。右手、それから左手。ゆっくり、均等に、力を抜いて。
- 一定の拍。最初からメトロノームを使って、ゆっくり。音楽らしく聴こえるかどうかを決めるのはリズムです。まちがった音は、ぶれる拍よりずっと許されます。
- 3つのコード。C、F、G(そしてAm)があれば、右手でメロディーを弾きながら、左手で何百もの曲を伴奏できます。
- 楽譜を少しずつ。耳で弾くのが好きでも、1日10分の楽譜の読み方の練習は、何年も効いてきます。
最初の4つは、無料のはじめてのピアノレッスンで、音を見つけるまで待ってくれる鍵盤といっしょに練習できます。それからドレミ付きのやさしい曲へ。
現実的な目安
ほぼ毎日20〜30分練習した場合:
| いつ | 多くの大人がいるところ |
|---|---|
| 最初の1か月 | 探さずに音が見つかる。片手ずつのかんたんなメロディー。メトロノームに合わせた一定の拍。 |
| 2〜3か月 | 両手でかんたんな曲。メロディーの下に、左手の基本的なコード。 |
| 半年 | 好きな曲のやさしいアレンジ。いくつかの音階。かんたんな楽譜をゆっくり読める。 |
| 1年〜1年半 | 初中級の曲を気持ちよく、表情をつけて。ブルグミュラーの前半も視野に。望むなら即興や耳コピも。 |
停滞期もつきものです。多くの大人は3か月目ごろ(両手を合わせるところ)と、8か月目ごろ(「ほとんど弾けるのに、きれいに弾けない」曲)でぶつかります。どちらも過ぎていきます。
1日20分の練習のしかた
短く何度もが、長くたまにに勝ちます。手は、練習したことを眠っているあいだに固めます。だから日曜日の2時間より、5日間の20分ずつのほうがはるかに効果があります。
- 3分:5本指の型か音階で、ゆっくり均等にウォームアップ。
- 12分:曲全体ではなく、いちばん難しいところを。3回続けて正しく弾けるまでゆっくりにして、それから少しずつ速く。
- 5分:もう弾ける曲を、最初から最後まで。ただ音楽のために。
大人の何か月分も節約する2つのルール。曲ではなく、まちがいを練習する(崩れる小節から始める)。そしてゆっくりが、いちばんの近道。ゆっくり弾けないものは、速くも弾けません。つまずきを練習しているだけです。くわしくは練習メニューで。
大人がぶつかる壁と、その越え方
「両手が合わない」
誰もが通る道です。まず片手ずつを自動にしましょう。話しながらでも弾けるくらいに。それから、両手が出会う場所を、2音ずつ、とてもゆっくり合わせます。脳は、2つの動きではなく、ひとつの動きとして組み合わせを覚える必要があるのです。
「つい速くなる」
走ってしまうのは、大人にいちばん多いくせで、たいていは緊張から。やさしいところは走り、難しいところは遅くなります。難しいところがらくに弾ける速さでメトロノームをかけ、録音して聴いてみましょう。すぐにわかります。
「ほとんど弾けるのに、きれいにならない」
問題の箇所ではなく、曲全体を練習しているサインです。原因の2小節を見つけて、1週間そこだけを。曲は1小節ずつ仕上がっていきます。
「思ったより下手に聴こえる」
耳が手より先を行っている証拠で、それこそが大人のいいところです。小さな成功を喜びましょう。両手がはじめてそろった瞬間、はじめて誰かの前で弾いた曲。
何を練習すればいいか、わからない? Ivoryはあなたの演奏を聴いて、どこがずれているかを教えてくれるピアノの先生アプリです。抜けた音、遅れて入る手、そろわない和音。気づいたことを伝えたうえで、正しい弾き方を実際に聴かせてくれます。
よくある質問
40代、50代、60代からでもピアノは弾ける?
弾けます。60代、70代で始めて、何十年も弾き続ける人もいます。演奏会の大曲は難しいかもしれませんが、好きな曲を、自分や誰かのために上手に弾くことは、十分に手の届く目標です。
大人がピアノを弾けるようになるまで、どのくらいかかる?
ほぼ毎日20〜30分練習すると、多くの大人は2〜3か月で両手のかんたんな曲を、1年〜1年半で初中級の曲を気持ちよく弾けるようになります。
毎日どのくらい練習すればいい?
週に1回2時間より、ほぼ毎日20分のほうがずっと効果的です。短く、集中して、こまめに。手はそうやって覚えます。
楽譜は読めないとだめ?
必須ではありませんが、読めると世界が広がります。特にクラシックは楽譜が頼りです。ポップスやジャズは、耳コピやコードネームで覚える大人も多くいます。両方を少しずつが、いちばん自由です。
電子ピアノでもいい?
はい。88鍵で、鍵盤に重みのある(ハンマーアクションの)電子ピアノがおすすめです。ヘッドホンで夜も練習でき、日本の住宅事情にも合っています。小さくて軽い鍵盤のキーボードは、すぐに物足りなくなります。
独学と先生、どちらがいい?
どちらにも良さがあります。毎日の練習とフィードバックはアプリや録音で、姿勢や技術はときどき先生に。いちばん大切なのは、自分の演奏を誰か(何か)に聴いてもらうことです。